3/10 ソウル まずはお決まりコ−スから
飛行機は13時10分発のアシアナ。
が、誰とは言わないが11時半の集合時間になって、
「今、家を出てなんばに向かってます。まあ間に合いますから大丈夫、大丈夫。皆さんはお先にどうぞ」というふざけた電話をかけて来た人がいる。(註1)
何とまあ。
前途多難のスタ−トだ。
空港でガイド役を務める金日南さん(?歳)の出迎えを受け、国立博物館、景福宮をざっと見学。
知っている人が多いと思うけど、ソウルのこの国立博物館はついこのあいだまで隣接地、
つまり景福宮前の旧日本総督府の建物にあった。
が、その建物は「日帝時代」を想起させるってことで、数年前に取り壊し。
王宮の前にそんなもの建てた当時の日本政府もひどいけど、
まあなかなか風格のある建物だったし、
当時の日本が建てたソウル市庁やソウル駅同様、それなりに景観になじんでいたような感じもしていたので、
僕は「わざわざそんなケンカみたいなこと言わなくてもいいのにな-」と思っていた。
その時には。
実際、韓国でも2通りの意見があったらしい。
保存派の意見は「もったいない」とか「もういいじゃんか」派と、「日本の悪事を証明する建物だから残せ」派に分裂していたらしいけど。
でも。
今となっては断然、無い方がいいね。
景観的にはもちろんだけど、象徴的な建物が持つ心理的影響力って、ものすごく大きいよ。
多分、多くの韓国人が、「思った以上に」すっきりしたのだと思う。
以前撮った写真を下に載せておくけれども、この方がよかったって人は、韓国人にも日本人にも、もう一人もいないだろうな。
当時の金泳三大統領の判断は、とても正しかったって気がする。
先月、松下政経塾に来られたから、お世辞言う訳じゃないけども。
で、まず今回、僕がものすごく驚いたのは、国立博物館にいる日本の修学旅行生の多さだった。
僕らがいた時間帯だけかも知れないけれど、見学者の半分以上が日本のガキどもだ。
いや-、ホントいい時代になったもんだよ。
さて、ソウルの国立博物館には、広隆寺や中宮寺の弥勒菩薩そっくりの「はんかしい像」がある。
確かによく似ており(上の写真)、しかも広隆寺のものは、韓国産のアカマツで作られているらしい。
両国の繋がりを象徴的に示す一例だが、仏像のサイズは全く異なり、日本の方がはるかに大きい。
それと、よく見ると表情にも少し差がある。
多分、日本人には広隆寺や中宮寺の方が美人に見え、韓国人からするとその逆ということなんだと思う。
広隆寺は新羅出身の秦氏のお寺なので「はんかしい像」も新羅製かと思いきや、その表情はどう見ても百済仏だという説もある。
以前は新羅製となっていた博物館の表示も、無難に「三国時代」へと訂正されていた。
撮影OKは休館の月曜日のみ。
申請の仕方を教えてもらった。
ホテルはプレジデント。
以前、思い出したくもないヒドイ「事件」がおき、できれば一生泊まりたくないと思っている、ロッテホテルのお隣にある。 (註2)
19時半から、僕に韓国語を教えてくれた鬼教師 K・MS嬢と、当HPの「美女もしくは才女による韓国語講座」に出てもらっているC・SN嬢を交え、明洞(ミョンドン)でメシ。
C・SN嬢が先日結婚したと聞き、ショックのあまり、焼肉がおいしく喉を通った。
「お約束コ−ス」の仕上げは南大門市場。
どうやらお買い物好きな人が多いようで、困ったものだ。
お約束ついでにアカスリにでもと思ったが、サウナはたいてい夜10時か11時まで。その代わり朝は5時や6時くらいからやっている。
なんでやねん??
その感覚は、ちょっと日本人には分らんぜ。
(註1:僕のことです)
(註2:別にロッテホテルに問題があったということではありません、念のため)
3/11 ソウル 韓国に学ぶこと多し
午前中は、番組を支援してもらっているスポンサ−企業の皆さんと合流し、宗廟と秘苑へ。
韓国の世界遺産は5箇所、うちソウル市内にあるのがこの2箇所だ。
おすすめは、何と言っても秘苑。
ガイドブックにはいつも景福宮の方が先に、でっかく書いてあり、秘苑は付け足し扱い。
「お好きな方はどうぞ」って感じなのだが、僕はじぇったいに(なまってどうする)秘苑の方が見ごたえがあると思う。
特に、歴史に格別の興味もなく「1つ見れば十分」っていう人には、
景福宮よりもこっちの方をお薦めするな。
(オレは営業マンか??)
秘苑にはだいたい1時間ごとの入場制限がある。
文化財保護や人員の都合もあるのだろうが、かなり前から、韓・英・中・日の言語別にガイドと回るスタイルをとっている。
僕はソウルには12-3回は来ており、秘苑も3回目なのだが、
日曜日だからか、「世界遺産効果」か、あるいは口コミで「なかなかいいよ」って噂が広まったのか、
以前に比べ、飛躍的に来場者が増えていた。
前に来た時は1回せいぜい数十人だったのだが、今回はぞろぞろ2-300人くらいの日本人が、ガイドと一緒に回っている。
ガイドのスキルがものすごくアップしていることにも驚いた。
けっこう色んな所で、笑いをとっている。
多分、前回も同じお姉さんに当たったのだが、歳月は彼女を大きく成長させていた。(左下の写真)
ところで、「国をあげての観光」という意味での日韓の取り組みには、実は雲泥の差があることをご存知だろうか?
「もちろん」というか「意外にも」というか、「雲」は韓国で「泥」が日本だ。
例えば、韓国では歴史の場所には、国によって統一様式の説明が建てられ(同)、説明文は日・英・中併記が常識。
主要観光スポットには大抵、外国語が出来るガイドが常に「待機」している。(右上の写真)
ホテルは特級、1級などにランク分けされており、苦情は観光公社が一括して受け付け。
その旨がエレベ−タ−やフロント、客室内にも記してある。
最新の催事情報も観光公社にて月刊で発行され、ホテルなどの目につく所におかれている。
地下鉄駅には駅番号がついており、路線色とあわせ、誰でもが不安なく利用できるようになっている。
などなど。
片や、日本では観光は自治体や民間任せ。
で、多くの観光事業者や観光地にとっては、外国人はあくまで日本人の「ついで」。
例えば、新幹線の切符にすらロ−マ字併記がなされていないような状態だ。
ワ−ルドカップを機会に、日本が謙虚に韓国に学んで行くべき点は、実はものすごく多いと思う。
ちなみに、日本国の観光予算はたったの30億円しかなく、そのほとんどが海外事務所の家賃と人件費。
事業費なんてゼロみたいなものだ。
ハ−ドにばかり予算をつける大蔵省が馬鹿で無能だということか、観光を管轄する運輸省が無力でヤル気に欠けるということか?
金ばかりでなく、人材やシステムも違う。
韓国では今度、僕らがロンドンとパリで「日韓共同フォ−ラム」をやった時に知り合った友人が観光局長に昇進した。
彼は僕と同年代で、まだ40そこそこだ。
大統領や朴セリなど、各界の国際的有名人を引っ張り出して、海外CMなどもガンガンやっている。
片や日本では、ほんの少し前までの運輸省の「観光部」は、船やバスや飛行機の許認可行政から「落ちこぼれた」奴が行く日陰者のセクションだったらしい。
要は、観光事業者を許認可し、管理するのがお仕事という発想だ。
そんな意識と人材難が悪循環を繰り返し、予算獲得を困難にしてきたことは想像に難くない。
まあでも日本も、さすがに最近は少し目が覚め始めた。
「緊急経済対策」の一環で始めた、海外でのTVコマ−シャルなどなど。
が、ちなみに、アジアでの日本観光のCMに出てるのは酒井法子だ。
中国や台湾はそれでいいけど、訪日外客数トップの韓国では誰一人、ノリピ−なんて知らないんだけどな(苦笑)。
さて。
昼食場所でスポンサ−グル−プと別れた後は、
資料やカメラポイントを求めて徳寿宮の博物館、かっての両班(ヤンバン:エリ−ト階級)の家、南山などを回り、
夕方近くになって、オリンピックスタジアム近くの「百済古墳群」を訪れた。
「百済古墳群」はガイドブックには出ていないややマニアックな場所で、以前から存在は知っていたものの、行ったことはなかった。
で、まあ期待薄だとは思いつつ、ロッテワ−ルドの博物館を見るついでということで、車を回してもらうことにしたのだが、
ここがなかなかよかった。
区が市民公園みたいな形で保存し、少しずつ調査しているらしい。
突然の訪問にも関わらず、日本の町の教育委員会にいる「発掘担当」の人と同じ空気を持ったお兄さんが、
ものすごく親切に対応してくれた。(左下の写真)
まあ別に、日本からの観光客にお勧めって場所ではないかも知れないけどね。
最後に訪れたロッテワ−ルドの博物館は、韓国の歴史を概観するには絶好の場所。
多分、修学旅行誘致用の施設なのだと思うが、韓国を深く理解したい人や是非ともホンモノを見たいっていう人以外には、
展示に工夫が凝らされている分、こっちの方が国立博物館や民族博物館よりも面白いと思う。
最大の特徴は、模型類が豊富なため擬似体験がしやすいということ。
以前から、初めての人のソウルのスケジュ−ルにはどこに組み込むのがいいかな-と考えていたのだが、
今回みたいに、ソウルの主要ポイントを訪問し、かつ地方訪問の前という感じがベストのタイミングではないかと思う。
見学後、ロッテワ−ルドで食事をし、地下鉄でホテルへ。
明日以降のスケジュ−ルや番組内容の修正につき、深夜まで話しこんだ。
その2:地方都市も頑張っている(水原・公州・扶余・海印寺・友鹿洞:3/12-13)
その3:からいもん4兄弟(慶州・釜山・金海:3/14-16)+おまけ(今回の行程)
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